創業補助金・開業届と同時に申請できる支援制度まとめ

最終更新: 2026年4月3日

創業補助金開業届起業支援創業融資自治体支援

この記事でわかること:創業・開業時に活用できる補助金・助成金・融資・税制優遇を網羅的に解説します。「創業補助金」の現在の状況、持続化補助金の創業枠、自治体の創業支援制度、日本政策金融公庫の創業融資、開業届を出すタイミングと支援制度の関係まで、これから起業する方が知るべき情報を実務レベルでまとめました。

1. 「創業補助金」の現状 ― 現在利用できる制度は?

かつて中小企業庁が実施していた「創業補助金(創業・第二創業促進補助金)」は2018年度で公募が終了しました。しかし、創業者向けの支援制度がなくなったわけではありません。現在は以下の制度が創業時の資金支援として活用できます。

制度名種別金額特徴
小規模事業者持続化補助金(創業枠)補助金上限200万円(補助率2/3)国の制度。創業後3年以内の事業者向け
各自治体の創業支援補助金補助金10万〜200万円程度自治体ごとに金額・条件が異なる
IT導入補助金補助金最大350万円創業時のITツール導入に活用可
ものづくり補助金補助金最大1,250万円設備投資を伴う創業に活用可
日本政策金融公庫・新創業融資制度融資最大7,200万円無担保・無保証人。創業前でも申請可
新規開業資金(日本政策金融公庫)融資最大7,200万円女性・若者・シニアの優遇金利あり
各自治体の制度融資(創業枠)融資数百万〜数千万円自治体の利子補給・保証料補助あり

補助金 vs 融資の違いを理解する:補助金は返済不要ですが後払い(事業実施後に受け取る)のため、創業直後の運転資金にはなりません。融資は返済が必要ですが、事業開始前・直後に資金を手にできます。創業時は「融資で当面の資金を確保し、並行して補助金を申請する」という組み合わせが現実的です。

2. 小規模事業者持続化補助金 ― 創業枠の詳細

創業者にとって最も身近な国の補助金が、持続化補助金の「創業枠」です。

項目内容
補助上限額200万円
補助率2/3
対象者「認定市区町村」の「特定創業支援等事業」による支援を受けた創業者
申請要件小規模事業者の定義に該当すること(商業・サービス業5人以下、製造業20人以下)
対象経費機械装置費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費、旅費、開発費、委託・外注費など
インボイス特例免税事業者からインボイス発行事業者に転換した場合、50万円上乗せ(合計250万円)

2-1. 「特定創業支援等事業」とは

創業枠で申請するための前提条件として、認定市区町村が実施する「特定創業支援等事業」の支援を受ける必要があります。

特定創業支援等事業の内容:

各市区町村が商工会議所、金融機関、NPO等と連携して実施する創業支援プログラムです。主な内容は以下の通りです。

・経営、財務、人材育成、販路開拓の4分野について、4回以上の指導を受ける
・1ヶ月以上の期間にわたって支援を受ける
・創業セミナー、個別相談、ビジネスプラン策定支援などの形で実施

修了すると市区町村から「証明書」が発行され、以下の優遇が受けられます。

・持続化補助金の創業枠への申請資格
・会社設立時の登録免許税の軽減(株式会社: 15万円→7.5万円、合同会社: 6万円→3万円)
・日本政策金融公庫の新規開業資金の貸付条件の優遇
・信用保証協会の創業関連保証の対象拡大

まず「特定創業支援等事業」を受けよう:これから創業する方は、まず開業予定地の市区町村の産業振興課に問い合わせ、特定創業支援等事業への参加を申し込みましょう。無料で受けられ、補助金・融資・税制優遇の全てにつながる、創業支援の「入口」です。

→ 持続化補助金の申請スケジュールと採択のコツはこちら

3. 自治体の創業支援補助金

国の制度に加え、多くの自治体が独自の創業支援補助金を設けています。金額や条件は自治体によって大きく異なります。

3-1. 主な自治体創業支援補助金の例

自治体制度名(参考)補助上限額対象経費
東京都創業助成事業300万円(補助率2/3)賃借料、広告費、器具備品費、産業財産権出願費等
大阪市大阪市創業促進補助金100万円程度店舗改装費、設備費、広告宣伝費等
名古屋市名古屋市スタートアップ支援事業50万〜100万円程度事務所賃借料、設備費等
福岡市創業支援補助金50万〜100万円程度事務所賃借料、設備費、広告費等
各市区町村創業支援補助金・助成金10万〜200万円程度自治体により異なる

注意:上記は過去の実績に基づく参考情報です。自治体の創業支援制度は年度ごとに内容が変わる場合があります。最新情報は各自治体の公式サイトまたは産業振興課に直接お問い合わせください。

3-2. 自治体創業支援補助金の探し方

方法具体的なアクション
J-Net21で検索J-Net21の支援情報ヘッドラインで「創業」「開業」をキーワードに検索。地域を絞り込み可能
自治体の公式サイト「(市区町村名) 創業支援」「(市区町村名) 開業 補助金」で検索
商工会議所に相談最寄りの商工会議所に電話して、地域の創業支援制度を確認
よろず支援拠点に相談各都道府県のよろず支援拠点で、補助金を含む創業全般の相談が可能(無料)

4. 日本政策金融公庫の創業融資

補助金は後払いのため、創業直後の資金としては融資が重要です。日本政策金融公庫は、創業者向けの融資制度を複数用意しています。

4-1. 新規開業資金

項目内容
融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間設備資金: 20年以内 / 運転資金: 10年以内(据置期間あり)
金利基準利率(2026年4月時点で要確認)。女性・若者(35歳未満)・シニア(55歳以上)は特別利率で優遇
担保・保証人原則不要(新創業融資制度の適用時)
対象者新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方

4-2. 創業計画書の書き方

日本政策金融公庫の創業融資では「創業計画書」の提出が必須です。以下の項目を具体的に記載します。

項目記載内容ポイント
創業の動機なぜこの事業を始めるのか経験・スキル・市場ニーズとの関連を示す
経営者の略歴職務経歴、資格、関連する経験事業に直結する経験を強調する
取扱商品・サービス何を売るか、ターゲットは誰か競合との差別化ポイントを明確にする
取引先・取引関係等販売先、仕入先、外注先具体的な取引先名があると信頼性が高い
必要な資金と調達方法設備資金、運転資金の内訳自己資金は全体の1/3以上が望ましい
事業の見通し月商、売上原価、経費、利益の計算根拠のある数値で現実的な計画を示す

自己資金の目安:日本政策金融公庫は「自己資金は創業資金総額の1/10以上」を要件としていますが、実務上は1/3以上あると審査が通りやすくなります。自己資金が少ない場合は、小規模から始める計画にするか、信用保証協会の創業関連保証を併用する方法もあります。

5. 創業時に使えるその他の支援制度

5-1. 税制優遇

制度内容要件
登録免許税の軽減株式会社設立時の登録免許税が15万円→7.5万円に特定創業支援等事業の証明書
設備投資減税(中小企業経営強化税制)即時償却または10%の税額控除経営力向上計画の認定
所得拡大促進税制給与等支給額の増加分の15〜25%を税額控除従業員の給与を増額した場合

5-2. 信用保証協会の創業関連保証

項目内容
保証限度額3,500万円(別枠)
対象事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に開業する方 / 開業後5年未満の方
保証料率年0.7〜1.0%程度(自治体によって異なる)
メリット民間金融機関からの借入が保証されるため融資を受けやすくなる

5-3. 小規模企業共済

項目内容
概要個人事業主・小規模企業の経営者の退職金制度
掛金月額1,000円〜70,000円(500円単位で設定可)
税制メリット掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
貸付制度積み立てた掛金の範囲内で事業資金を低利で借入可能

6. 創業から支援制度活用までのタイムライン

創業6ヶ月〜1年前: 情報収集・準備開始
・特定創業支援等事業に参加(市区町村の産業振興課に申込み)
・創業計画書のドラフト作成開始
・自己資金の確認・貯蓄
創業3〜6ヶ月前: 資金調達の準備
・日本政策金融公庫に相談(事前相談は無料)
・創業計画書の完成
・融資申込み
・物件・設備の下見(契約はまだしない)
創業1〜3ヶ月前: 開業届提出・各種手続き
・開業届を税務署に提出
・青色申告承認申請書の提出(開業から2ヶ月以内)
・GビズIDプライムの取得申請(2〜3週間かかる)
・融資実行・事業用口座の開設
創業後すぐ: 補助金申請の開始
・持続化補助金(創業枠)の申請準備
・商工会議所に相談・事業支援計画書の依頼
・IT導入補助金の検討(会計ソフト等)
・自治体の創業支援補助金の確認・申請
創業後3〜6ヶ月: 追加の支援制度活用
・従業員を雇用した場合: キャリアアップ助成金の計画書提出
・経営力向上計画の認定申請
・小規模企業共済への加入

7. 開業届と補助金申請の関係

補助金・制度開業届の要否タイミング
持続化補助金(創業枠)必要開業届提出から3年以内
IT導入補助金必要開業後(確定申告1年分以上が望ましい)
ものづくり補助金必要開業後
自治体の創業支援補助金自治体により異なる開業前後(自治体により異なる)
日本政策金融公庫融資不要(開業前でも申込み可)創業前〜創業後
特定創業支援等事業不要(開業前でも参加可)創業前〜創業後

開業届はいつ出すべきか:開業届は事業開始から1ヶ月以内に提出することが法律上求められています(罰則なし)。補助金申請を見据えると、早めに提出してGビズIDの取得やその他の手続きを進める方が有利です。ただし、開業届を出すと失業保険の受給資格を失う点に注意してください。

8. 業種別・創業時のおすすめ支援制度

業種おすすめの制度活用例
飲食店持続化補助金(創業枠)+ 自治体補助金 + 日本公庫融資店舗改装、メニュー開発、チラシ作成、内装工事資金
美容室持続化補助金(創業枠)+ IT導入補助金予約システム導入、HP制作、美容機器購入資金
ECショップIT導入補助金 + 持続化補助金ECサイト構築、在庫管理システム、広告費
製造業ものづくり補助金 + 日本公庫融資製造設備導入、生産管理システム、工場取得資金
コンサルタント・士業持続化補助金(通常枠)+ IT導入補助金HP制作、顧客管理システム、オンライン相談ツール
IT・Web開発ものづくり補助金 + 創業融資サービス開発費、クラウドインフラ費用

9. 創業時の補助金申請で失敗しないためのチェックリスト

創業者の補助金チェックリスト:

1. 特定創業支援等事業の証明書を取得したか(持続化補助金・創業枠に必要)
2. GビズIDプライムを取得したか(電子申請に必須)
3. 開業届を税務署に提出したか
4. 青色申告承認申請書を提出したか(開業から2ヶ月以内)
5. 事業用の銀行口座を開設したか(補助金の振込先)
6. 創業計画書を作成したか(融資にも補助金にも使える)
7. 商工会議所に相談したか(無料で支援を受けられる)
8. 自治体の創業支援補助金を確認したか(地域独自の制度)
9. 補助金は後払いであることを理解し、当面の資金を確保したか
10. 交付決定前に契約・支払いをしていないか(対象外になる)

10. 創業支援の無料相談窓口

窓口対応内容費用連絡方法
よろず支援拠点創業全般の相談。補助金、融資、事業計画の作成支援無料各都道府県の拠点Webサイトから予約
商工会議所・商工会創業支援セミナー、持続化補助金の申請支援無料最寄りの商工会議所に電話
日本政策金融公庫創業融資の相談、創業計画書の作成支援無料最寄りの支店に電話またはWebから予約
各自治体の産業振興課自治体の創業支援制度の紹介、特定創業支援等事業の案内無料市区町村の代表番号から産業振興課へ
TOKYO創業ステーション(東京都のみ)創業相談、ビジネスプラン策定支援、セミナー無料Webサイトから予約

よくある質問

Q. 「創業補助金」はまだ申請できますか?

中小企業庁の「創業補助金(創業・第二創業促進補助金)」は2018年度で終了しました。現在は持続化補助金の創業枠(上限200万円)が後継的な位置づけです。各自治体の創業支援補助金も活用可能です。

Q. 開業前でも補助金を申請できますか?

ほとんどの補助金は開業届提出後でないと申請できません。ただし、特定創業支援等事業は開業前から参加でき、日本政策金融公庫の融資は開業前でも申込み可能です。開業届を早めに提出してから補助金申請に進む流れが効率的です。

Q. 創業時は補助金と融資どちらを先に検討すべきですか?

融資を先に検討してください。補助金は後払いのため創業直後の資金にはなりません。日本政策金融公庫の新創業融資制度で運転資金を確保しつつ、並行して補助金を申請する流れが理想です。

Q. 自己資金がほとんどなくても創業融資は受けられますか?

日本政策金融公庫は自己資金要件を「創業資金の1/10以上」としていますが、実務上は1/3以上あると審査が通りやすくなります。自己資金が少ない場合は、特定創業支援等事業の証明書を取得すると自己資金要件が緩和される場合があります。

Q. 会社設立と個人事業、どちらが補助金で有利ですか?

補助金の申請要件に法人・個人の区別はほとんどありません。持続化補助金、IT導入補助金、ものづくり補助金はいずれも個人事業主・法人の両方が申請可能です。登録免許税の軽減を考えると、特定創業支援等事業の証明書を取得してから法人化するのが経済的です。

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